PROJECT 02
橋りょう(設計・メンテナンス)

PROJECT 02 橋りょう(設計・メンテナンス)

〈 災害からインフラを守る 〉

「予測できない」から鉄道を守る。

JRC技術本部には、大きく分けて設計を担当する部署と防災・メンテナンスを担当する部署がある。設計部門のうち鋼構造設計部では鋼構造に関わる橋りょうや人工地盤、駅改良の設計を担い、メンテナンスでは橋りょうやトンネルなどの鉄道土木構造物の調査・診断、斜面防災などを行っている。どちらのミッションも鉄道というインフラの安全を守ることだ。今回は近年頻発する自然災害からの鉄道復旧や対策をテーマに、最前線で奮闘する二人の社員に迫る。

技術本部 鋼構造設計部

山岸 靖典 YAMAGISHI Yasunori

技術本部 メンテナンス事業部

三上 淳 MIKAMI Jun

SCENE 1多種多様な設計を知り技術を磨く

入社後、駅・バリアフリー設計部、JR本体への出向、上信越支店での耐震補強設計で、様々な既設構造物に図面と現地で触れることを経て、技術本部鋼構造物設計部に配属となった山岸。現在の部署では6年目を迎える。仕事のミッションについて、山岸は「現在の部署では、鋼構造に関する様々な設計に携わり、安全な構造物の設計成果を提供することが役割です。例えば構造物には電車や人、ケーブル、クレーンのような施工機械等の様々な重さがかかってくるため、どのような材料・形状を使えば安全かを考えて計算を行うこともその一つです」と語る。日々知識と経験の蓄積を行いながら、それをさらに活かすべく技術士の資格を2科目取得したという。

SCENE 2通常時の状態を把握し非常時に備える

同じ技術部でありながら、入社以来一貫して維持管理に関わる業務を行う三上は「もともと維持管理に関する仕事に興味があり、自分が身近に利用する鉄道という分野の構造物維持管理に携わりたかった」と言う。そんな彼が現在担当するのは、河川橋りょうの健全度の調査、コンクリート構造物の調査・診断、地震時や豪雨災害時の調査・復旧方法の検討、列車通過時に大きな揺れの生じる構造物のモニタリングなどと幅広い。「発注者のニーズに応えることはもちろん、加えて一つでも付加価値を提案することを常に目指しています。そのために学ぶ姿勢を大切に、最新技術や土木業界の動向を把握するため、社内の勉強会や社外セミナー、展示会などにも積極的に参加しています」(三上)

SCENE 3災害時にいかに迅速に復旧するか

「100年に一度」と報道されるような災害が頻発する昨今。過去に設計された橋りょうは、現在のような大雨は想定されていない場合も多いという。2011年7月の新潟・福島豪雨では、只見川の橋りょうが流出するという災害が起きた。被災初期に、三上は調査のために現場に赴いている。「車で向かえるぎりぎりの現場まで行き、洗堀の状況を調査するとともに、解析・評価を迅速に行い、列車運転再開の可否をJR東日本に報告しました」。その後、橋の詳細設計に携わったのが山岸だ。「詳細設計から架設計画まで担当しましたが、最初はわからないことだらけで様々な資料をひたすら読み漁った記憶があります。この経験を経て橋りょう設計の一連の流れを把握することができましたが、上部工の形式や橋りょう架設の方法は多くの種類があるため、さらに知識と経験を積みあげたいと感じています」。現場に入る時期は異なっても、同じ社内ですぐに情報共有できるというのはJRCならではの強みだ。

SCENE 4社会インフラを支える誇り

災害の発生とその影響は予測しづらくなり、過去のデータからだけでは見いだせない解決策が必要な現場も多いという。だからこそ、日々知識を更新していくこと、現場での経験を糧にしていくことが欠かせない。そんな仕事について「迅速に調査、データ分析を行い、橋脚の健全性を把握することで、列車を早く通すことができる。調査に携わった現場に列車が通ると、やりがいを感じます」(三上)。「鉄道は誰もが利用するインフラの一つなので、自分が携わった仕事が直接役に立ち、それを利用しているお客様や鉄道関係者の姿を見ることができるのは喜びです」(山岸)とやりがいを語ってくれた。鉄道という社会インフラを支える誇りを胸に、二人はさらに経験を積み、その技術力を磨いていくに違いない。